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矢の根(やのね)

 正月の曾我の里で、大きな砥石<といし>で矢の根を磨いていた曾我五郎の初夢に、兄十郎の生霊<いきりょう>が現れ、いま敵の館に捕らえられていると告げて助けを求める。驚いた五郎は四方の悪魔払いをした後、来合わせた裸馬に乗り、大根を鞭<むち>にして駆け出す。
 大薩摩<おおざつま>の浄瑠璃<じょうるり>を語っていた太夫が山台<やまだい>を降り、扇を年玉にして年礼に来る演出や、五郎が七福神に悪態<あくたい>をつくなど、理屈抜きに洒落<しゃれ>た江戸の初春狂言。

初演年月 享保5年(1720)1月
原題名 楪根元曾我
ゆずりはこんげんそが
初演者 二代目市川團十郎
初演劇場 森田座 (江戸)
テキスト:服部幸雄著『市川團十郎代々』(講談社刊)より
写真:福田尚武撮影