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暫(しばらく)

 罪のない善男善女が悪人に捕らえられ、まさに皆殺しにされようとする危機一髪 の時に、「しばらく〜」と大声をかけて現れた主人公が超人的な力で荒れて救う 物語。江戸時代、江戸の顔見世狂言<かおみせきょうげん>に入れる約束になっていた局面を独立させたもの。現行の台本は、明治28年(1895)に九代目團十郎 が演じた時のものが固定した。公家姿の悪人の役(ウケ)は清原武衛<たけひら>、主人公の役名は、鎌倉権五郎景政<かまくらごんごろうかげまさ>になっている。

初演年月 元禄10年(1697)1月
原題名 参会名護屋
さんかいなごや
初演者 初代市川團十郎
初演劇場 中村座 (江戸)
テキスト:服部幸雄著『市川團十郎代々』(講談社刊)より
写真:福田尚武撮影(暫、矢の根、助六、押戻、解脱)