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成田屋通信
2005年10月11日
入院日記12

入院日記が更新されました。前回に引き続き昨年5月のお話です。  輸血によって限界以下になった赤血球、血小板を補給しても、その数は依然少ない。白血球も無く、あらゆる危険に曝されている状態が何日も続く。この間の過ごし方が大切だ。医師の方々も細心の注意を払い、各種の検査から得られるデータを基に対応してくれる。
 中でも徹底的に監視しているのは肺のようだ。外部から侵入する細菌やカビだけではなく、普段自分の体にいる菌に対しても、全く抵抗力がないので、この菌に感染し発病してしまうこともある。種々の抗生物質を皮内反応で確かめた上で、選択して使った。
 前回の入院では皮内反応を行なったが、今回の病院ではこのテストは行なわないという。 不思議に思って尋ねたところ、去年までは皮内反応テストが義務づけられていたが、最近このテストを行なわなくても良い事になったそうである。その理由は、テストの結果が必ずしも正確ではないため、この病院では医療の基礎である「傍で観察する」を取り入れ、10分位は傍にいて世間話をしながら観察し、反応や異常に対応する、とのことであった。このことばかりではなく、薬や治療法がわずか1年で変化、進化する医療の世界に驚かされた。
 入室する家族、関係者は白衣、マスクの着用を義務付けられる。患者である私も空気清浄機の付いているビニールのカーテンの中に入れられる。
 医師の方々や周りの人々の努力に感謝すると同時に、自分自身の努力を怠ってはならない。患者の自己責任として、兎にも角にも、人間の出入り口を清潔に保つことが何よりも大切である。私の場合は、薬によって唇もガサガサになっていたが、歯磨きは1日3回、ゆっくりとあくまでやさしく丁寧に。うがいは1日5回以上は行なう。下も同じく細心の注意を払わなければいけない。
 こんなとき、女房の方は甘えがあって余りしつこくは言わないが、娘の方が厳しい。人間関係とは面白いもので、女房から言われると喧嘩になって、娘から言われると素直に従う。父親とはそんなもので天邪鬼なもの、女房はそんなことは百も承知で、あまり言わないのかも知れない。
 厳しく言ってくれたお陰で、口内炎が二箇所できただけで、他の疾患は出ずに済んだし、体調もよく余病も、不快感もほとんど無かった。心を鬼にして傍で注意してくれたお陰と深く感謝している。
 疾患が出ると、ただでさえ大変なところに猶大変なことになる。口内炎が口中にできてしまった方は本当に気の毒だ。点滴だけでは体力が付かないので、口からの食事を勧められるが、口内炎が出来ていると、まず口の中を麻酔して食事を摂ると聞いている。
 この時期に出てくるのが加熱食である。加熱食とは、一旦調理した食事をさらに加熱して完全に殺菌された料理で、端的にいってマズい。形容の仕方も思いつかないほどマズい。何しろ高熱でとことん殺菌されているので、油分がすっかり飛んでしまって、パサパサになっている。食欲が無くなっている上に、口内炎になったりしていると、この料理を口に運ぶのはなおさら大変な作業だ。