入院日記が更新されました。治療法のお話です。
抗がん剤は脊髄中の良い白血球の子には効かず、悪い白血球の子に強く効くのが望ましいが、そんな薬は無く、どうしても良い方にも悪い方にも効いてしまう。
良い方にはあまり効かず悪い方に効果があり、さらにこの効き方の差が大きく副作用が少ない程、良い抗がん剤ということだ。
抗がん剤を投与されると白血球、赤血球、血小板の子供達の生産が抑制される。したがって、血液の中の重要な成分である白血球や赤血球、血小板も正常より激減する。
また、抗がん剤は体の中でも比較的速く分裂する細胞にも効いてしまう。毛根、爪、粘膜も、体の中では速く分裂する細胞なので影響が出る。毛髪は抜け、爪は白い筋が入り、粘膜は弱くなるし、内臓も影響を受ける。もちろん抗がん剤の効力が無くなれば、元の通りに復活するので心配はない。
白血球が少なくなると、免疫力が弱まるので、感染の脅威に曝される。
普段は善玉菌として体の活動を助けてくれる菌や、普段は絶対にかからない、カビに肺を冒される事もある。
また、血小板が減少すると止血作用が弱くなり、その機能を失うと生命の危機を意味する。去年白血病が発覚する前、私も強くぶつかった覚えもないのに、大きな痣が体に出来、なかなか消えなかったが、原因が白血病にあるとは知らなかった我々家族は不思議がっていた。皆さんも、痣ができて長く消えないときは早く医師と相談することを是非々々お勧めする。内出血が脳内の血管で起こってしまった場合は、手術もできないことになることあるからである。
抗がん剤を投与すると、体の多方面にいろいろな症状がでる可能性がある。それを医師はいろいろな薬を組み合わせ、症状に応じて使う。まさに匙加減であり医師の腕の見せ所である。
私の場合、「寛解導入療法」「地固め療法」「維持療法」という順で行われた。
「寛解導入療法」とは随分いかめしい名称だし意味も良く分からない。
それに比べ、地固めだ、維持だ、とはあまりに簡単すぎる名称だ。
この落差は何だろうと思い、広辞苑で調べてみると、寛解とは「病気そのものは完全に治癒していないが、病状が一時的あるいは永続的に軽減または消失すること。特に白血病などの場合に用いる語」とあった。
やはり分かったような、分からないような表現である。
「治るのか、治らないのかはっきりせんか?」
と言いたくなる。
何人もの医師に尋ねたが、なかなか納得する答えが得られなかったが、一人の医師の譬えに成る程と納得したので紹介する。
「この病気は富士山のようなものです。ある時、地下にマグマが溜まって爆発して周りに甚大な被害を及ぼした。大爆発のあとは不安定な時期もあったが、今は噴火してない。だが、富士山は死火山では無く休火山である。今富士山が爆発するような噂はあっても、まずわたし達が生きているうちは噴火しないでしょう。寛解導入療法とは爆発の原因となるマグマを取り去るのを目的とします」
地下のマグマによって爆発し富士山が出来てしまった。この場所は他の場所よりマグマが溜まりやすい。が時間が経てば危険性は減ってくる。またマグマ溜まってないか、異変がないか、きちんと観測しなければいけない、とのことであった。
私は納得したが、まだ首を横に傾けている人も多いだろう。
訳が分かろうと、分かるまいと、そんなどころではなかった。去年の5月に寛解導入療法を受け始めた。