ホーム > 成田屋通信
成田屋通信
2003年03月03日
事務所のつぶやき26号 蒔絵の意匠

質問メールをいただきましたので、お答えいたします。  先月、匿名希望の方よりご質問のメールをいただきました。

 ある櫛の蒔絵の意匠が、「文様は、片面桜花弁散らし雨に雀、片面細かい雲文様、編み笠、大小の刀」で、歌舞伎十八番に関係があるのでしょうか、とのお問い合わせでした。

 読ませていただいた限りでは、どうやら歌舞伎十八番の『不破』の意匠の様です。ただし、「雨に雀」ではなく「雨に燕」であると思われます。
 
 「雲文様」は不破伴左衛門、「雨に燕」は名古屋山三の衣裳の柄を現していますし、「編み笠」は二人とも深編み笠を被って登場するところからきていると思われます。また、二人は同じ傾城をめぐって「恋の鞘当て」をしているという設定ですので、「大小の刀」も重要なポイントです。そして「桜」は、この作品の舞台である吉原を現していることになります。

 なお、演目についての詳細は、当サイトの「成田屋早わかり」の中の歌舞伎十八番『不破』の項を参考にしていただければ幸いです。